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体組成計に乗ると、体脂肪率、筋肉量、内臓脂肪レベル、基礎代謝と、いくつもの数字が出ます。
そのうち、実際に測っているのは体重だけです。 ほかは推定値です。
この記事では、その推定がどうやって行われているのかと、どこまで信じてよいのかを書きます。
なお、この記事は一般的な情報提供です。減量の指示を受けている方は、主治医と管理栄養士の指示を優先してください。
何を測っているのか
体組成計は、体に微弱な電流を流して、その流れにくさ(抵抗)を測っています。 生体電気インピーダンス法と呼ばれる方法です。
原理は単純です。
- 脂肪は電気をほとんど通しません
- 筋肉や血管など、水分の多い組織は電気を通します
つまり、電気の通りにくさから「脂肪がどれくらいありそうか」を計算しています。
体脂肪率という数字は、測定値ではなく計算結果です。ここを押さえておくと、次の話が理解できます。
水分量で数字が動きます
体の水分が変われば、電気の通りやすさが変わります。 脂肪が変わっていなくても、表示は動きます。
数字が動く場面は、こういうときです。
- 運動や入浴の後 — 発汗で水分が減っています
- 食事や飲水の直後
- 朝と夜 — 体内の水分分布が違います
- 女性では、月経周期でも動きます
「昨日より体脂肪率が1%下がった」は、たいてい脂肪ではなく水分の話です。
だから、条件をそろえます
血圧計や体温計と同じ考え方です。同じ条件で測ってはじめて、比べられます。
- 起床後、トイレを済ませてから
- 食事や飲水の前
- 入浴や運動の前
- 素足で、同じ場所(硬い床)に置いて測る
4番は見落とされます。カーペットや畳の上では正しく測れません。
そして、1回の値で判断しないでください。 見るのは、数週間の傾向です。
選び方
測定原理はどれも同じなので、極端な精度の差は期待しないでください。見るのはこの3点です。
1. 記録が続く形か
手で書き写す運用は続きません。スマートフォンに自動で送れるものを選ぶと、続きます。
2. 家族で使うか
複数人で使うなら、乗っただけで誰かを判別するものが便利です。毎回選ぶ手間が消えます。
3. まず体重だけでも足りる
正直に書きます。体重を毎日同じ条件で記録するだけでも、管理としては十分に機能します。
項目数の多さで選ばないでください。 24項目測れても、見ない項目は意味がありません。
使えない方がいます
ここは医師として、はっきり書いておきます。
心臓ペースメーカーなど、植込み型の医療機器を使用している方は、体組成計を使用しないでください。
理由は、測定のために微弱な電流を体に流しているためです。体内の機器が影響を受けるおそれがあります。
体重計としてなら使える機種もありますが、機種によって異なります。 該当する方は、取扱説明書を確認し、主治医に相談してください。
妊娠中の方も、体内の水分量が大きく変動するため、体組成の数値は参考になりません。体重の管理は主治医の指示に従ってください。
数字より、変化を見る
医師として、いちばん伝えたいのはここです。
体脂肪率の絶対値には、それほど意味がありません。 機種が違えば数字も変わります。
意味があるのは、同じ機械で、同じ条件で測り続けたときの変化です。
- 体重が減っているのに、体脂肪率が下がっていない — 筋肉も一緒に減っている可能性
- 体重が変わらないのに、体脂肪率が下がっている — 中身が入れ替わっている可能性
- 短期間で大きく動いた — たいてい水分の話
3番を脂肪の増減だと思って一喜一憂しないでください。 これがいちばん多い誤解です。
数字が動かないときに見るところ
体重も体脂肪率も動かない時期は必ず来ます。そのとき見るのは、体組成計ではありません。
- 腹囲 — メジャーで測れます。体重が変わらなくても減ることがあります
- 服のサイズ感
- 血圧、血液検査の値
健診の数値のほうが、体組成計の推定値より確実です。 家庭の測定は、その間をつなぐものと考えてください。
家庭で測る数字の扱いは、家庭用血圧計の選び方でも書いています。
まとめ
3点です。
- 体脂肪率は推定値。 実測しているのは体重だけ
- 水分量で動く。 同じ条件・同じ機械で、数週間の傾向を見る
- 植込み型医療機器がある方は使用しない。 微弱電流を流しているため
項目数を増やすより、条件をそろえて続けるほうが情報量があります。
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