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指にはさむだけで、血液中の酸素の量が分かる。便利な道具です。
ただ、外来でこう言われることがあります。「家で測ったら98%だったので、大丈夫だと思って様子を見ていました」。
その判断が危ないことがあります。
この記事では、選び方の前にこの数値がどこまで信用できるのかを書きます。
なお、この記事は一般的な情報提供です。息苦しさがあるときは、数値にかかわらず受診してください。
何を測っているのか
パルスオキシメータは、指に光を当てて、その透過の具合から血液中の酸素の割合を推定しています。
採血して直接測っているわけではありません。光の当たり方が変われば、値も変わります。
ここを押さえておくと、次の「狂う条件」が理解しやすくなります。
低く出るとき
実際は問題ないのに、低い値が出ることがあります。
- 指先が冷えている — 末梢の血流が少ないと拾えません。冬と、冷房の効いた部屋で起きます
- マニキュアやジェルネイル — 光を通しにくい色で誤差が出ます
- 指が動いている、体が震えている — 波形が乱れます
- 指がむくんでいる、爪が極端に厚い
低い値が出たら、まず手を温めて、別の指で測り直してください。 機械を疑う前に、条件を疑うのが先です。
高く出るとき。こちらのほうが危ない
問題は逆のパターンです。 酸素が足りていないのに、高い値が出ることがあります。
一酸化炭素中毒です。
一酸化炭素と結びついたヘモグロビンを、機械は酸素と区別できないことがあります。その結果、危険な状態なのに正常に近い値が表示されます。
暖房器具の不完全燃焼や火災の煙を吸った場面が該当します。この状況では、数値を根拠に安心しないでください。
貧血が強い場合も、酸素を運ぶ量そのものは減っているのに、割合としての数値は保たれることがあります。「割合」を測っているという性質から来る限界です。
だから、数値だけで判断しない
医師が診るときも、数値だけを見ているわけではありません。
- 呼吸が速くないか
- 会話が続けられるか、話が途切れないか
- 顔色、唇の色
- 本人がしんどそうかどうか
「98%だから大丈夫」ではなく、「しんどそうだから受診」です。 順番が逆になると、判断を誤ります。
選び方は2点だけ
1. 医療機器認証を受けたものを選ぶ
家庭用として売られているものの中には、医療機器として認証されていない「健康グッズ」が混ざっています。
商品説明に管理医療機器としての認証番号が書かれているかを確認してください。
血圧計と同じメーカーで揃えておくと、記録をまとめて管理しやすいという利点があります。
2. 表示が読めるか
高齢のご家族が使うなら、ここが効きます。数字の大きさと、画面の向きです。
指にはさんだ状態で、自分で読める向きに表示されるか。 家族が横から読む前提なら、向きが変わるものを選んでください。
測り方
条件をそろえないと、比べられません。
- 手を温めてから測る
- 座って、1分ほど安静にしてから
- 指を動かさない。 表示が安定するまで数十秒待つ
- マニキュアをしている指は避ける
- 毎回同じ指で測る
5番は見落とされがちです。指によって値は変わります。
受診の目安
数値より症状が先です。
すぐ受診または救急
- 息が苦しい、呼吸が速い、会話が続かない
- 唇や指先が青紫になっている
- 意識がぼんやりしている
- 暖房器具の使用中や火災のあとに、頭痛・吐き気・めまいがある
4番では、数値が正常でも受診してください。 上に書いた一酸化炭素の問題があるためです。
数値の目安として
日常的に測っている方で、いつもの値から明らかに下がった状態が続くなら、症状が軽くても相談してください。
基準となる数字は、持病によって変わります。 慢性の肺疾患がある方では、健康な人と同じ目標にしません。自分の目標値は主治医に確認してください。
まとめ
3点です。
- 光で推定している。 冷え・マニキュア・体動で値は変わる
- 一酸化炭素中毒では高く出る。 いちばん危ない外し方
- 数値より症状。 「98%だから様子を見る」をしない
家庭に置く道具としては有用です。ただし、受診の判断を代わりにしてくれる機械ではありません。
家庭で測る数字の扱いは、家庭用血圧計の選び方でも書いています。
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