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子どもが鼻づまりで眠れない夜があります。自分で鼻をかめないうちは、大人が取ってやるしかありません。
家電量販店に行くと、数千円のものから1万円を超えるものまで並んでいます。高いほうがよく吸えます。 ただ、それがそのまま効果の差になるとは限りません。
この記事では、選び方と、やりすぎないための線引きを書きます。
なお、この記事は一般的な情報提供です。症状が続く場合は小児科か耳鼻咽喉科を受診してください。
吸引力が強ければ効く、ではありません
商品ページでいちばん強調されるのが吸引力です。
ところが、病院にある壁の吸引に匹敵する強力な電動吸引器と、ほとんど吸引力のないゴム球型を比べても、効果に差がなかったという研究報告があります。
この事実は、商品ページには書かれません。
つまり、「高いものを買えば解決する」という問題ではありません。 選ぶときに見るべきは、吸引力の数字ではなく、次の2点です。
- その子の鼻に安全に当てられる形か
- 毎晩使い続けられる手間か
先の形のほうが大事です
0歳から3歳くらいの子どもの鼻に、細いノズルを奥まで入れるのは難しく、奥まで入れようとすると粘膜に当たって痛がります。
先が膨らんだ形(オリーブ管と呼ばれます)のほうが、鼻の入口で止まるので安全です。奥に入れる必要はありません。
鼻水は入口付近にたまっているものを取れば足ります。 奥まで届かせようとしないでください。
電動と手動
電動の利点は、大人の手が空くことです。 子どもが暴れる場面では、片手で押さえながら吸えるのは大きい違いになります。
据置型は吸引力が安定していて、毎日使う家庭では結局これに落ち着くことが多いです。
持ち運びを重視するなら、ハンディ型があります。
手動でも十分な場面はあります。
まず試すなら、口で吸うタイプで足ります。 数百円です。これで足りるかどうかを確かめてから、電動を買っても遅くありません。
ただし口で吸うタイプは、大人が感染をもらう経路になり得ます。 逆流を防ぐ構造のものを選び、使用後は必ず洗ってください。
吸う前に、やわらかくする
これを知っているかどうかで、痛がり方が変わります。
乾いた鼻水をいきなり吸うと、粘膜を傷つけます。
先に生理食塩水を1〜2滴入れて、10〜20秒待ってください。 鼻水がやわらかくなり、粘り気のあるものも吸い出しやすくなります。
この一手間のほうが、吸引力の差より効きます。
やりすぎないでください
医師として、ここは強く書いておきます。
繰り返し吸うと、鼻の粘膜を傷つけ、鼻血の原因になります。 さらに、刺激そのものがくしゃみと鼻水を誘発することがあります。
吸えば吸うほど良い、ではありません。
目安として、眠れない、ミルクが飲めないといった困っている場面で、1日2〜3回程度にとどめてください。
鼻水は次々に作られます。 吸引の効果は一時的です。根本を治すものではないと理解しておくと、やりすぎを防げます。
中耳炎との関係
「鼻を吸うと中耳炎を防げる」と言われることがあります。
小さい子どもは耳と鼻をつなぐ管が短く水平に近いため、鼻の状態が耳に影響しやすいのは事実です。
ただ、家庭での吸引がどれだけ中耳炎を減らすかについては、はっきりした結論が出ていません。 上に書いた「強い吸引器と弱いもので差がなかった」という報告も、その文脈にあります。
「吸っているから大丈夫」と考えないでください。 耳を痛がる、耳をよく触る、発熱があるなら受診です。
受診の目安
すぐ受診
- 呼吸が苦しそう、肩で息をしている、ゼーゼーしている
- ミルクや母乳が飲めない
- ぐったりしている、機嫌が極端に悪い
- 生後3か月未満で発熱がある
受診を考える
- 耳を痛がる、しきりに触る
- 黄色や緑色の鼻水が続く、においがある
- 鼻血が繰り返し出る
- 鼻づまりで眠れない日が続いている
2番と3番は、吸引を続けるより受診が早いことがあります。耳鼻咽喉科では、家庭より確実に吸引できます。
まとめ
3点です。
- 吸引力の強さが、そのまま効果の差になるとは限らない
- 先が膨らんだ形を選び、奥まで入れない。 生理食塩水で先にやわらかくする
- 1日2〜3回まで。 やりすぎると鼻血と粘膜損傷を招く
まず数百円の手動で試して、足りなければ電動に上げる。 この順番が、失敗が少ないと思います。
家庭に置く道具の考え方は、家庭の救急箱の中身でも書いています。
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