経口補水液の使い方|医師が書く、飲む量と飲んではいけない場面

経口補水液の使い方|医師が書く、飲む量と飲んではいけない場面 Amazon比較

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夏になると、経口補水液が店頭に山積みになります。冬から春には、胃腸炎の流行とともにまた売れます。

そのたびに気になるのが、「暑くなりそうだから、先に飲んでおこう」という使い方です。

これは、この飲み物の設計と合っていません。

この記事では、経口補水液を何のために、どれだけ、どういうときに使うのかを整理します。売るための記事ではなく、使い方を間違えないための記事として書きます。

なお、この記事は一般的な情報提供です。持病がある方は、必ず主治医の指示を優先してください。

大前提:これは病者用の食品です

経口補水液は、清涼飲料水ではありません。

OS-1は、脱水状態の人が水と電解質を補給するための食品として位置づけられています。世界保健機関が提唱する経口補水療法という考え方にもとづくものです。

消費者庁も、「脱水状態でない方が日常の水分補給として飲むものではありません」と明記して注意喚起をしています。

同じ棚に並んでいても、スポーツドリンクとは別のカテゴリの製品です。 原材料の読み方についてはスポーツドリンクの原材料表示で書いています。

何が違うのか

設計が逆を向いています。

スポーツドリンク 糖が多め・電解質は控えめ → 運動のエネルギーも入れる

経口補水液 糖は控えめ・電解質が多め → 水と電解質の吸収を速める

経口補水液で糖を減らして電解質を上げているのは、おいしくするためではありません。 腸で水とナトリウムを一緒に吸収させる仕組みを効かせるための配合です。

だから、味は「おいしい」より「しょっぱい」に寄ります。 健康な状態で飲むと飲みにくいのは、設計どおりです。

逆に言えば、脱水のときにおいしく感じたら、体が求めているサインとして受け取れます。

飲む量の目安

メーカーが示している1日あたりの目安は、次のとおりです。脱水の状態に応じて増減します。

  1. 学童から成人(高齢者を含む) — 500〜1,000mL/日
  2. 幼児 — 300〜600mL/日
  3. 乳児 — 体重1kgあたり30〜50mL/日

乳児は体重で決まります。 体格差が大きい時期なので、大人と同じ発想で量を決めないでください。

そして、これは目安です。 メーカー自身が「医師から脱水症の食事療法として指示された場合にお飲みください」と書いています。判断に迷う状態なら、量を自分で決める前に相談してください。

「予防のために飲む」は違います

ここが、いちばん誤解されている点だと思います。

経口補水液は、脱水を予防するための飲み物ではありません。 脱水が起きている、あるいは起こしかけているときに使うものです。

暑くなる前の水分補給は、水やお茶で足ります。 汗を大量にかく作業や運動があるなら、スポーツドリンクが向きます。

「念のため毎日1本」という飲み方をすると、必要のないナトリウムとカリウムを毎日入れ続けることになります。

相談が要る人がいます

ここは医師として、強めに書いておきます。

次に当てはまる方は、飲む前に主治医に相談してください。

  1. 高血圧で治療を受けている
  2. 心臓の病気がある
  3. 腎臓の病気がある
  4. 糖尿病がある
  5. ナトリウム・カリウム・水分の制限を指示されている

理由は単純です。経口補水液には、スポーツドリンクより多くのナトリウムとカリウムが入っています。

制限を受けている方にとって、これは「水分をとる」だけの行為ではありません。塩分とカリウムを追加する行為です。 心臓や腎臓に問題があると、その追加が負担になります。

「水分だから大丈夫」という発想でいちばん事故が起きやすいところです。

高齢のご家族に飲ませる場合も同じです。本人が持病と制限を把握していないことがあります。 処方されている薬を見て、判断に迷ったら主治医か薬剤師に確認してください。

自作はすすめません

水と塩と砂糖で作るレシピが出回っています。災害時など、どうしても手に入らない場面のための知識としては意味があります。

ただし、日常的にそちらを選ぶのはすすめません。理由は2つです。

  1. 濃度を外しやすい。 塩が多すぎても少なすぎても、狙った効果から離れます
  2. 弱っている人ほど、外したときの影響が大きい。 乳幼児と高齢者では特にそうです

市販品が手に入る状況なら、市販品を使ってください。 濃度が決まっていることが、この製品の価値です。

備え方

必要になるのは、たいてい買いに行けないときです。夜間や、家族が動けないときに起きます。

だから、置いておくものです。

24本は家族がいる場合の備蓄向けです。一人暮らしなら6本から始めるほうが、期限を切らさずに回せます。

300mLは、飲み切れる量で分けたいときに向きます。開封後に置いておくものではないためです。

ゼリーは、飲み込む力が落ちている高齢の家族がいる家庭では選択肢になります。 液体はむせやすく、むせること自体が別のリスクになります。

風味つきは、子どもが飲んでくれないときの選択肢です。飲めなければ意味がないので、ここは味で選んで構いません。

受診と救急の目安

飲ませることより、こちらが先の場面があります。

すぐに救急要請してください。

  1. 意識がはっきりしない、呼びかけへの反応が鈍い
  2. けいれんがある
  3. 体が熱いのに汗が出ていない

受診してください。

  1. 飲めない、飲んでも吐いてしまう
  2. 尿が半日以上ほとんど出ていない
  3. 下痢や嘔吐が続いている
  4. 高齢者や乳幼児で、いつもと様子が明らかに違う

「飲ませれば治る」と考えて時間を使わないでください。 飲めない状態は、それ自体が受診の理由です。

まとめ

3点です。

  1. これは病者用の食品。 日常の水分補給にも、予防にも向かない
  2. 目安は学童から成人で500〜1,000mL/日。乳児は体重で決まる
  3. 高血圧・心臓病・腎臓病・糖尿病、制限のある人は主治医に相談する

そのうえで、必要になったときに家にあることが、いちばん効きます。 買いに行けないときに要るものだからです。

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