勤務間インターバルと代償休息|当直明けに何時間休めるのか

勤務間インターバルと代償休息|当直明けに何時間休めるのか 医師の働き方改革

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当直が明けて、そのまま午前の外来に入る。昼過ぎに終わって、ようやく帰る。

この働き方が制度上どう扱われるのかを、正確に知っている医師は多くありません。「連続勤務時間制限」と「勤務間インターバル」という2つの言葉を、厚生労働省は数字で定義しています。

なお、この記事は一般的な情報提供です。個別の適用については、勤務先の労務担当か、各都道府県の医療勤務環境改善支援センターに確認してください。

ルールは2つしかありません

覚えるべき数字は、次の2組だけです。

  1. 始業から24時間以内に、9時間の継続した休息時間(連続勤務時間の上限は15時間)
  2. 始業から46時間以内に、18時間の継続した休息時間(連続勤務時間の上限は28時間)

1番が原則で、通常の日勤に適用されます。2番は特例です。

2番を使えるのは、宿日直許可のない宿日直だけです

ここが最初の分かれ道です。

厚生労働省の資料には、こう書かれています。

医療法上、業務の開始から46時間を経過するまでに18時間の継続した休息時間を確保することにより勤務間インターバルを確保できるのは、宿日直許可のない宿日直勤務に従事する場合に限られています

日勤が延びたから今回は46時間で18時間にする、という切り替えはできません。

そして、もう1つ重い一文が続きます。

代償休息が発生することを前提とした勤務シフト等を組むことは、原則として認められません

シフトを作る時点で、休息が確保されている必要があります。 後から埋め合わせる前提の勤務表は、制度の想定外です。

始業8時なら、上限は23時か翌日12時

数字を自分の勤務に当てはめてみてください。

連続勤務時間には、労働基準法上の休憩時間も含まれます。そのうえで、始業が午前8時の場合、連続勤務時間の上限は23時、または翌日12時になります。

  1. 通常の日勤 … 8時始業なら23時まで(15時間)
  2. 宿日直許可のない宿日直 … 8時始業なら翌日12時まで(28時間)

C-1水準が適用される臨床研修医については、上限が翌日8時とされています。入職して間もない時期であることを踏まえ、別のルールが設けられています。

当直明けの午後まで残っているなら、28時間を超えている可能性があります。

「継続した」が効きます。合計では足りません

ここを誤解すると、シフトの見え方が変わります。

厚生労働省の例を引くと、8時始業で翌朝8時までの24時間について、

  1. 23時から翌8時まで休んだ場合 … 継続した9時間があるので、インターバルは確保されている
  2. 休息の合計は同じでも、細切れになっている場合 … 継続した9時間がないので、確保されていない

合計時間ではなく、途切れない9時間があるかどうかで判定されます。

オンコールで何度も起こされる夜は、休息の合計が長くても、この条件を満たさないことがあります。

宿日直許可のある当直は、休息とみなされます

許可のある宿日直には、特別な扱いがあります。

始業から24時間以内に、9時間以上連続した宿日直許可のある宿日直に従事する場合、インターバルが確保されているとみなされます。

ただし、条件は厳格です。

9時間未満の宿日直許可のある宿日直と3時間の休息時間を足して連続した9時間の勤務間インターバルを確保したこととすることはできません

6時間の許可あり宿直に3時間の休息を足して9時間、という計算は認められません。 その場合は、別に9時間の休息が必要になります。

さらに、18時間のほうについても制限があります。

46時間で18時間のルールを使う場合、18時間の継続した休息の中に、宿日直許可のある宿日直を含めることはできません。 許可ありの宿日直を休息とみなせるのは、24時間で9時間のルールのときだけです。

宿日直許可そのものの仕組みは、こちらで整理しています。

→ 宿日直許可と当直|あなたのその当直は労働時間に入らないのか

兼業先の当直にも、同じルールが当てはまります

外勤で当直に入る場合も対象です。

厚生労働省は、主たる勤務先で勤務した後に副業・兼業先の宿直に従事する例を挙げています。A病院での始業から24時間以内に、B病院で9時間以上の宿日直許可のある宿直に従事していれば、インターバルは確保されていることになります。

逆に、B病院での許可あり宿直が9時間未満なら、インターバルとはみなされません。

そして資料には、こう添えられています。

副業・兼業先と調整して、勤務間インターバルを確保できるよう勤務シフトを組む必要があります

本務先と外勤先の間の調整が前提になっています。 実際にその調整が行われているかは、別の話です。

→ 外勤とバイトは労働時間の上限に通算される

義務なのか、努力義務なのか

適用の強さは水準で変わります。

  1. B・連携B・C-1・C-2水準 … 義務
  2. A水準 … 努力義務

さらに、A水準には除外の条件があります。A水準の医師のうち、実際に定める36協定の上限時間数が一般則(時間外労働年間720時間等)を超えない場合は、対象外です。

自分がどこに当たるかは、勤務先の指定と36協定を見ないと分かりません。

→ 医師の働き方改革|あなたの上限は何時間になったのか

代償休息とは何か

休息の予定が崩れたときの埋め合わせが、代償休息です。

予定された9時間又は18時間の継続した休息時間中にやむを得ない理由により発生した労働に従事した場合、医療機関の管理者は、その労働時間に相当する時間分を代償休息として付与する必要があります

付与の期限は、対象となる労働時間が発生した日の属する月の翌月末までです。 そのうえで、できるだけ早期に確保することが求められています。

代償休息を年次有給休暇で付けることはできません

ここは押さえておいてください。

付与の方法は、次のどちらかに限られています。

  1. 所定労働時間中における時間休の取得
  2. 勤務間インターバル幅の延長

年次有給休暇は含まれていません。理由も明記されています。年次有給休暇は勤務医が取得時季を決めるものなので、その意に反して付与することはできないからです。

「代償休息の分は有休で取っておいて」と言われたら、制度の趣旨と違います。

有給での付与は義務ではない。ただし割増賃金は別

もう1つ、給与に関わる点です。

代償休息そのものについて、有給での付与は義務づけられていません。ただし、代償休息の前提となるインターバル中の労働が時間外や深夜帯に発生している場合は、代償休息をいつ付与するかにかかわらず、時間外労働や深夜労働に対する割増賃金を支払う必要があります。

休みをもらったから賃金は不要、という扱いにはなりません。

なお、付与の単位は分単位でも、15分・30分・1時間単位への切り上げでも構いませんが、実際に労働させた時間を下回る方法で付与することは認められません。

代償休息が発生しない場合もあります

すべての呼び出しが代償休息につながるわけではありません。

9時間の継続した休息時間を超える分の時間については、代償休息の付与義務は生じません。

厚生労働省の例では、11時間のインターバルが予定されていて、そのうち1時間だけ急患対応をした場合、残り10時間の継続した休息が確保できているため、義務は発生しないとされています。

判定は「9時間を割ったかどうか」です。

許可のある宿日直中は、義務ではなく配慮義務

許可のある宿日直に9時間以上従事している間に呼ばれた場合の扱いは、少し弱くなります。

  1. 通常の勤務時間と同態様の労働が発生し、十分な睡眠が確保できなかった場合、管理者はその時間に相当する休息を事後的に付与する配慮義務を負う
  2. C-1水準が適用される臨床研修医については、付与は義務
  3. 9時間の許可ありの宿日直に従事した後であれば、通常と同態様の業務が発生しても、代償休息の配慮義務はない

3番は、当直明けに呼ばれ続けるケースの扱いを決めています。

夜勤は「宿日直」ではありません

最後に、混同されやすい点です。

46時間で18時間のルールでいう「宿日直」は、医療法第16条に規定する義務としての宿日直を指します。通常の勤務時間と同態様の労働となる夜勤は、ここに含まれません。

ただし例外があります。医療機関の規則等で夜勤業務が明確化され、通常の日勤業務よりも労働密度が低い業務であることが確認できる場合には、このルールを適用できるとされています。厚生労働省が挙げている例は次のとおりです。

  1. 急患対応がない場合は仮眠室での休憩が可能であること
  2. 通常の休憩時間に加え、労働密度が低くなる深夜・早朝に休憩時間を別途確保すること
  3. 予定された手術の対応はなく、緊急手術のみ対応すること

これらが院内規則に明記され、職員全体に周知されていることが条件です。

自分のシフトを点検する

制度を知ったうえで、勤務表を見返してみてください。

  1. 始業から24時間以内に、途切れない9時間があるか
  2. 当直の日は、その当直に宿日直許可があるか
  3. 許可がある場合、連続9時間以上か
  4. 当直明けの勤務が、始業から28時間を超えていないか
  5. 呼ばれて9時間を割った月に、代償休息が付いているか

5番を確認している医師は、ほとんどいないはずです。 翌月末までという期限があるので、忘れられていても気づきにくい項目です。

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シフトの実態は、外から見たほうが分かることがあります

当直の回数、宿日直許可の範囲、当直明けの勤務がどこまで続くか。他院の条件を並べて初めて、自分の勤務先が標準からどれだけ離れているかが見えます。転職するかどうかは、その後で決めれば足ります。

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まとめ

  1. ルールは24時間で9時間と、46時間で18時間の2つ
  2. 46時間で18時間を使えるのは、宿日直許可のない宿日直に従事する場合だけ
  3. 連続勤務時間の上限は、それぞれ15時間と28時間。始業8時なら23時か翌日12時
  4. 判定は合計ではなく、途切れない9時間があるか
  5. 許可ありの宿日直は、9時間以上連続していれば休息とみなされる。足し算は不可
  6. 18時間の休息の中に、許可ありの宿日直は含められない
  7. 兼業先の当直も対象。本務先と兼業先の調整が前提
  8. 義務はB・C水準。A水準は努力義務で、36協定が一般則内なら対象外
  9. 代償休息は、翌月末までに、時間休またはインターバル延長で付与
  10. 年次有給休暇で代償休息を付けることはできない
  11. 有給での付与は義務ではないが、時間外・深夜の割増賃金は別に必要
  12. 9時間を超える分の時間には、代償休息の義務は生じない
  13. 許可ありの宿日直中に呼ばれた場合は、義務ではなく配慮義務

当直明けに何時まで働いているか。 そこから逆算すれば、自分の勤務がどちらのルールで組まれているのかが分かります。

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ご注意

この記事は一般的な情報提供であり、個別の労務判断を示すものではありません。記載内容は厚生労働省が公開している「医師の勤務間インターバルの仕組みについて」および関連資料をもとに整理していますが、制度は見直しが進められており、要件や数字が変わることがあります。自分に適用される水準、勤務先のシフトの取り扱い、代償休息の運用については、勤務先の労務担当または各都道府県の医療勤務環境改善支援センターにご確認ください。

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