外勤とバイトは労働時間の上限に通算される|医師の働き方改革

医師の働き方改革

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「本務先の残業はそんなに多くないから、上限は気にしなくていい」

もしそう考えているなら、前提が抜けています。

時間外・休日労働の上限は、勤務先ごとに判定されるものではありません。 判定されるのは、その医師個人です。

なお、この記事は一般的な情報提供です。個別の適用については、勤務先の労務担当か、各都道府県の医療勤務環境改善支援センターに確認してください。

厚生労働省は、こう書いています

制度の説明にはこうあります。

時間外・休日労働の上限規制は、その医師の各勤務先医療機関の全ての労働時間を通算し、時間外・休日労働時間を算出した上で適用されます

「全ての労働時間を通算し」。ここが全てです。

本務先で年600時間、外勤で年400時間なら、合計1,000時間として扱われます。A水準(年960時間)の医療機関に所属していれば、この時点で超えています。

どこの病院にも超えた自覚がないまま、本人だけが超えている。 この形が起こりえます。

上限の枠組み自体は、こちらで整理しています。

→ 医師の働き方改革|あなたの上限は何時間になったのか

何が通算されるのか

労働時間として扱われるものは、すべて対象です。

  1. 本務先の時間外・休日労働
  2. 定期の外勤(週1回の非常勤も含まれます)
  3. スポットバイト(単発でも積み上がります)
  4. 健診・人間ドックの応援
  5. 当直(ただし後述のとおり、扱いが分かれます)

「本業ではない」「アルバイトだから」という区別は、この制度にはありません。

→ 医師のスポットバイト|相場と探し方

→ 外勤先はどう決まるか

当直だけは、扱いが分かれます

ここが実務でいちばんややこしい部分です。

当直が労働時間に入るかどうかは、その勤務先が宿日直許可を受けているかどうかで変わります。

許可を受けている場合

労働基準監督署長の許可を受けた宿日直勤務については、その許可の範囲で、労働基準法上の労働時間・休憩・休日に関する規定が適用除外になります。

許可の要件は、常態として、ほとんど労働をする必要がないことです。

許可を受けていない場合

厚生労働省の資料には、はっきりこう書かれています。

宿日直許可を得ずに行う宿日直は通常の労働時間として取扱う必要があります

許可のない当直は、まるごと労働時間です。 一晩の当直がそのまま上限を削ります。

宿日直許可そのものの仕組みは、こちらで詳しく整理しています。

→ 宿日直許可と当直|あなたのその当直は労働時間に入らないのか

許可があっても、呼ばれた分は労働時間です

もう1つ、見落とされやすい点があります。

許可を得た宿日直業務中に通常の労働が発生した場合には、労働時間として取扱うことが必要

許可は「その晩は何時間働いても労働時間にならない」という意味ではありません。

呼ばれて対応した時間は、労働時間として計上する必要があります。「宿日直許可があるから当直は0時間」という運用になっているなら、実態と合っていない可能性があります。

寝当直の実態と案件の見分け方は、こちらで扱っています。

→ 寝当直バイトの実態|単価と楽な案件の見分け方

連携B水準の場合は、数え方が変わります

大学病院から関連病院へ出ている医師は、連携B水準に当たることがあります。

この場合、法令上の上限は年1,860時間ですが、派遣元の病院1か所での上限は年960時間です。派遣先での勤務と合わせて1,860時間、という組み立てです。

自分がこの形に当たるかどうかは、派遣元の労務担当に確認してください。

自分の残り枠をどう数えるか

正確な計算は勤務先が行いますが、目安は自分でも出せます。

  1. 本務先の時間外・休日労働を、給与明細か勤怠記録から拾う
  2. 外勤・スポットの実働時間を、月ごとに足す
  3. 当直は、宿日直許可の有無を勤務先に確認してから数える
  4. 1年分を合計して、960時間(または1,860時間)と比べる

3番でつまずく人が多いはずです。 宿日直許可の有無は、求人票にも勤務表にも書かれていないことがほとんどです。

勤務先は、あなたの外勤を把握していません

制度上は通算されますが、実際の把握は自己申告に依存します。

本務先は、あなたが他院で何時間働いたかを自動的に知る仕組みを持っていません。外勤先も同じです。

つまり、全体を把握できるのは自分だけという状態になります。上限を超えていることに誰も気づかないまま進む、ということが起こりえます。

これは「黙っていれば大丈夫」という話ではありません。健康を守るための仕組みなので、超えて困るのは自分です。

求人を見るときに確認すること

外勤やバイトを検討するとき、単価と勤務地の前に確認しておくと安全な点があります。

  1. 宿日直許可の有無 … 許可の有無で、同じ当直でも上限の削られ方がまったく違います
  2. 実際の呼び出し回数 … 許可があっても、呼ばれた分は労働時間です
  3. 終了時刻と翌朝の業務 … 朝の回診や外来が含まれていないか

1番は求人票にまず書かれていません。 直接聞くしかない項目です。

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宿日直許可の有無は、担当者に聞くのが早いです

求人票に書かれていない条件は、紹介会社の担当者を通すと確認できることがあります。単価より先に、その当直が労働時間に入るのかどうかを押さえておいてください。

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上限に近づいたときの選択肢

枠が残り少ないと分かった場合、打てる手はあります。

  1. 外勤の回数を減らす … 単価の高い案件に絞る
  2. 宿日直許可のある当直に寄せる … 同じ回数でも削られ方が変わります
  3. 本務先の時間外を減らす … タスクシフトの相談を含めて
  4. 勤務先に相談する … 上限管理は本来、医療機関の管理者の義務です

4番を最後に置きましたが、本来はここが出発点です。 上限の管理は病院側に義務づけられています。

まとめ

  1. 上限は勤務先ごとではなく、その医師個人について判定される
  2. 外勤・スポットバイト・健診応援は、すべて通算される
  3. 当直は宿日直許可の有無で扱いが変わる。 許可がなければ通常の労働時間
  4. 許可があっても、呼ばれて対応した時間は労働時間
  5. 連携B水準では、派遣元1か所での上限は年960時間
  6. 実際の把握は自己申告に依存する。全体を見られるのは自分だけ
  7. 求人を見るときは、単価より先に宿日直許可の有無を確認する

「本務先では収まっている」は、答えになっていません。 足し算をしてみてください。

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ご注意

この記事は一般的な情報提供であり、個別の労務判断を示すものではありません。記載内容は厚生労働省が公開している資料をもとに整理していますが、制度は見直しが進められており、要件や数字が変わることがあります。自分に適用される水準、勤務先の宿日直許可の有無、労働時間の算定については、勤務先の労務担当または各都道府県の医療勤務環境改善支援センターにご確認ください。

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