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「自分が何水準なのか、労務担当に聞いても要領を得ない」
この場合、聞かずに調べる方法があります。
指定を受けた医療機関は、都道府県が公示しています。 さらに、その病院の労務管理がどう評価されたかまで公表されています。
なお、この記事は一般的な情報提供です。個別の適用については、勤務先の労務担当か、各都道府県の医療勤務環境改善支援センターに確認してください。
特例水準の指定は、公示されます
年960時間を超える時間外・休日労働をさせる必要がある医療機関は、都道府県から指定を受ける必要があります。この指定を受けた医療機関を特定労務管理対象機関と呼びます。
根拠は医療法です。
- 医療法第113条第1項 … B水準の指定
- 医療法第118条第1項 … 連携B水準の指定
- 医療法第119条第1項 … C-1水準の指定
- 医療法第120条 … C-2水準の指定
そして、医療法第113条第6項および第118条第2項の規定により、指定は公示されます。
公示ですから、誰でも見られます。
名前が変わるので、探すときは注意が要ります
一覧を見るときの落とし穴があります。一覧には「B水準」とは書かれていません。
正式な区分の名称は次のとおりです。
- B水準 … 特定地域医療提供機関
- 連携B水準 … 連携型特定地域医療提供機関
- C-1水準 … 技能向上集中研修機関
- C-2水準 … 特定高度技能研修機関
「B水準の一覧」で探しても見つかりません。 検索するなら「特定労務管理対象機関」です。
水準そのものの違いは、こちらで整理しています。
一覧に載っている項目
公示される一覧には、次の項目が並びます。
- 医療機関名
- 所在地
- 指定の種類(上の4つの区分)
- 指定事由
- 指定日
- 指定期間(始期と終期)
4番の「指定事由」が読みどころです。
実際の一覧には、次のような事由が記載されています。
- 救急医療
- 地域において当該病院又は診療所以外で提供することが困難な医療
- 医師の派遣
- 臨床研修
その病院が、何を理由に1,860時間の枠を認められたのかが分かります。 救急なのか、派遣なのか、研修なのか。自分の診療科がその事由に関係しているかどうかも、ここから推測できます。
なお、1つの病院が複数の区分で指定を受けていることがあります。 大学病院が連携型特定地域医療提供機関と技能向上集中研修機関の両方で指定されている例があります。
指定期間は3年です
見落とされやすい点です。
実際の一覧を見ると、指定期間は令和6年4月1日から令和9年3月31日という形で記載されています。3年間です。
指定は一度取れば続くものではありません。 期間の終わりが近づけば、更新の手続きが必要になります。
いま指定を受けている病院が、3年後も同じ水準とは限りません。
ここからが本題です。評価結果まで公表されています
指定を受けるには、医療機関勤務環境評価センターの評価を受ける必要があります。
そして、医療法第111条第1項に基づいて都道府県に通知されたその評価結果が、公表されています。
評価結果の一覧に並ぶ項目は次のとおりです。
- 医療機関名と住所
- 指定日と指定の種類
- 評価の番号と通知日
- 評価結果
- 指摘事項・助言等
- 都道府県による支援の方針
4番と5番が、この記事でいちばん伝えたい部分です。
評価結果は、3段階で書かれます
実際に公表されている評価結果の文言は、次のような形です。
- 医師の労働時間短縮に向けた医療機関内の取組は十分に行われており、労働時間短縮が進んでいる
- 医師の労働時間短縮に向けた医療機関内の取組は十分に行われているが、労働時間短縮が進んでいない
- 医師の労働時間短縮に向けた医療機関内の取組に改善の必要があるが、医師労働時間短縮計画案から今後の取組の改善が見込まれる
取組と結果が、別々に評価されています。
2番は「やってはいるが、時間は減っていない」という評価です。同じ指定を受けていても、1番の病院と2番の病院では中身が違います。
指摘事項は、病院ごとに具体的です
さらに踏み込んでいるのが、指摘事項の欄です。実際に公表されている文面には、次のような記述があります。
医師の労務管理における労働時間の把握・管理体制は整備されているが、勤務計画の作成や労働時間短縮に向けた研修などに取組むことが必要である
医師の業務の見直しの実施がなされているが、医師の面接指導実施体制や勤務計画の作成などが計画段階であることから早期実施に向けて取組むことが必要である
「面接指導実施体制が計画段階」と名指しで書かれています。
面接指導は、A水準を含むすべての水準で義務です。それが計画段階だと評価されている病院がある、ということがそのまま公開されています。
→ 長時間労働医師の面接指導|受けるのは義務なのか、誰がやるのか
なお、指摘事項にはタスク・シフト/シェアの実施状況についての記述も見られます。医師の業務の見直しがどこまで進んでいるかも、この欄から読み取れます。
調べ方
手順は単純です。
- 検索する … 「都道府県名 特定労務管理対象機関」で、その県の医療政策担当課のページに行き着きます
- 指定結果の一覧を開く … 自分の病院名を探します
- 指定の種類と指定事由を見る … これが自分に適用されうる水準です
- 評価結果の一覧を開く … 同じページに並んでいることが多い形です
- 指摘事項の欄を読む
5番まで読む人はほとんどいません。 ですが、ここにいちばん具体的な情報があります。
名前が載っていない場合は、その病院は特例水準の指定を受けていません。 つまりA水準です。年960時間が上限になります。
なお、47都道府県の一覧をすべて集計した結果は、こちらにまとめています。全国477施設で、病院全体の約6%でした。
→ B水準の病院は全国に477施設|47都道府県の公表資料を全部数えました
名前が載っていない場合に分かること
一覧に載っていない、という事実は情報です。
- 上限は年960時間(A水準)
- 面接指導は義務
- 休息時間の確保は努力義務
ただし、A水準であっても、実際に定める36協定の上限時間数が一般則を超えない場合は、勤務間インターバルの対象外になります。
→ 勤務間インターバルと代償休息|当直明けに何時間休めるのか
転職先を検討するときに使えます
この一覧は、いま勤めている病院だけのものではありません。
候補として考えている病院の評価結果も、同じように読めます。
- 指定を受けているか、受けているならどの区分か
- 取組と労働時間短縮の両方が「進んでいる」と評価されているか
- 指摘事項に、面接指導や勤務計画が計画段階と書かれていないか
- 指定期間がいつまでか
面接の場で聞きにくいことが、事前に文字で確認できます。
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公表資料と、実際の勤務を突き合わせる
評価結果は制度上の話であって、その診療科の実際の当直回数や勤務時間までは書かれていません。公表されている評価を見たうえで、担当者に現場の条件を確認すると、判断の材料が揃います。
まとめ
- 特例水準の指定を受けた医療機関は、医療法に基づいて都道府県が公示する
- 一覧では「B水準」ではなく、特定地域医療提供機関という名称で載る
- 連携Bは連携型特定地域医療提供機関、C-1は技能向上集中研修機関、C-2は特定高度技能研修機関
- 一覧には、指定事由(救急医療、医師の派遣、臨床研修など)が載る
- 指定期間は3年。いま指定されていても3年後は別
- 医療機関勤務環境評価センターの評価結果も公表されている
- 評価は、取組と、労働時間短縮が進んだかどうかを分けて書かれる
- 指摘事項の欄は病院ごとに具体的で、面接指導体制が計画段階といった記述もある
- 名前が載っていなければ、その病院はA水準
- 転職先の候補についても、同じ資料で確認できる
自分の病院が何水準かは、聞かなくても分かります。 そのうえで、どう評価されたかまで読めます。
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ご注意
この記事は一般的な情報提供であり、個別の労務判断を示すものではありません。記載内容は都道府県が公表している特定労務管理対象機関の一覧および医療機関勤務環境評価センターの評価結果一覧、ならびに厚生労働省の資料をもとに整理しています。公表の形式や掲載項目は都道府県によって異なることがあり、記載されている内容は公表時点のものです。また制度は見直しが進められており、要件や数字が変わることがあります。勤務先での具体的な取り扱いについては、勤務先の労務担当または各都道府県の医療勤務環境改善支援センターにご確認ください。


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