勤務医がふるさと納税で損をする理由は、ほぼ1つに絞れます。
常勤先の年収だけで上限を出していることです。
この記事は一般的な情報提供であり、個別の税務判断を示すものではありません。具体的な申告は税理士または所轄税務署にご確認ください。
上限を決めているのは「年収」ではなく「課税所得」
ふるさと納税の控除上限は、住民税の所得割額から計算されます。所得割額は課税所得に比例します。
つまりその年に得た所得を全部足さないと、上限は出ません。
ところが多くの計算サイトは「年収を入れてください」と1つしか欄がありません。そこに常勤先の額面を入れて終わりにすると、外勤とスポットの分が丸ごと抜け落ちます。
どれくらい変わるのか
実際の数字で見ます。
常勤1,400万円だけで計算した場合、上限はおよそ24万円です。
ここに外勤384万円を足すと、およそ46万円になります。
差は約22万円。枠を半分使わずに年を越していることになります。
外勤を週1回、1日8万円で48週回せば384万円です。特別に多い水準ではありません。むしろ標準的な勤務医の働き方で、この差が生まれています。
足し忘れやすいもの
- 外勤(定期非常勤)の給与
- スポットバイト、健診、ワクチン接種の謝金
- 産業医の嘱託報酬
- 原稿料、監修料、講演料
- オンライン診療の業務委託料
給与として受け取ったものも、報酬として受け取ったものも、どちらも上限に効きます。乙欄で引かれている外勤先の分を「もう税金は引かれたから関係ない」と考えてしまうと、そこで止まります。
自分の数字で出す
医師のふるさと納税 上限メーターは、常勤と外勤を分けて入れられるようにしてあります。登録は不要で、入力内容はサーバーに送っていません。
使い方は2段階です。
1回目は、年の途中に「見込み」で出す。どのくらい寄附できそうかの目安がつきます。
2回目は、源泉徴収票が届いてから入れ直す。上限は年内の収入が確定して初めて決まります。見込みで出した額をそのまま信じて上限ぎりぎりまで寄附すると、確定後に超過していた、ということが起こります。
2026年10月の改正は、寄附する側には影響しません
2026年10月1日に制度が変わりましたが、寄附者の控除計算・上限額・ワンストップ特例は変わっていません。
変わったのは自治体側の基準です。返礼品と経費の合計を寄附額の一定割合以下に収める、というルールの数字が動きました。
ここで注意したい点があります。よく「6割ルールが始まった」と書かれていますが、2026年10月時点では52.5%です。
段階的に引き上げられる設計で、60%になるのは2029年10月です。経費側から見ると50%から47.5%に下がったという話で、返礼品の還元率が即座に6割になるわけではありません。
2027年からの193万円上限は、ほとんどの勤務医に関係しません
2027年1月1日から、住民税の特例分に193万円という定額の上限が入ります。2027年の寄附分から適用されます。
ネット上では「合計所得4,000万円超の人が対象」と書かれていることがありますが、これは誤りです。所得の要件は条文に存在しません。
実質的に上限へ届くのは所得割額が965万円を超えたときで、総務省の試算では給与収入1億円相当です。給与5,000万円でも特例控除額は93万円にとどまり、193万円には届きません。
勤務医の大半は対象外です。該当しうるのは、開業医で所得が極端に大きい層に限られます。
まとめ
- 上限を決めるのは課税所得。外勤とスポットを足さないと出ない
- 常勤1,400万円だけなら約24万円、外勤384万円を足すと約46万円
- 見込みで出したら、源泉徴収票が届いた後に必ず入れ直す
- 2026年10月の改正は寄附側の計算に影響しない。6割ではなく52.5%
- 2027年からの193万円上限は給与1億円相当から。勤務医の大半は無関係


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