面接指導の意見書|誰が書いて、どこまで回るのか

面接指導の意見書|誰が書いて、どこまで回るのか 医師の働き方改革

面接指導を受けると、そのあとに書類が1枚できます。

「長時間労働医師面接指導結果及び意見書」です。

この書類が、誰の手を通って、どこまで回るのか。受ける前に知っておくと、面接での答え方が変わります。

なお、この記事は一般的な情報提供です。個別の運用については、勤務先の労務担当か、各都道府県の医療勤務環境改善支援センターに確認してください。

様式例は公開されています

厚生労働省の面接指導実施医師養成ナビで、様式例が公開されています。

病院ごとに多少の差はありますが、記載する項目はおおむねこの形です。実際に何が書かれるのかは、受ける前に確認できます。

面接指導そのものの制度は、こちらで整理しています。

→ 長時間労働医師の面接指導|受けるのは義務なのか、誰がやるのか

何が書かれるのか

様式例に並んでいる欄は、次のとおりです。

  1. 対象者の氏名・所属・生年月日
  2. 勤務の状況(労働時間、労働時間以外の項目)
  3. 睡眠負債の状況
  4. 疲労の蓄積の状態
  5. その他の心身の状況
  6. 本人への指導内容および管理者への意見
  7. 面接実施年月日と、面接指導実施医師の所属・氏名
  8. 面接指導実施医師意見に基づく措置内容(管理者および事業者が記載)
  9. 確認欄(管理者と事業者の署名等)

1番から7番までを面接指導実施医師が書き、8番と9番は病院側が書きます。

睡眠と疲労は、点数で残ります

3番と4番には、少し踏み込んだ仕組みがあります。

どちらも0から3までの4段階で記録される形式です。

  1. 睡眠負債の状況 … 本人報告と睡眠評価表をもとに、低い(0)から高い(3)まで
  2. 疲労の蓄積の状態 … 労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリストをもとに、低い(0)から高い(3)まで

自由記述ではなく、数字が残ります。 複数回受ける場合、この数字が推移として見えることになります。

疲労蓄積度のチェックリストは2023年に改正され、食欲、睡眠、勤務間インターバルに関する項目が追加されています。

意見の選択肢は、3つです

6番の「本人への指導内容および管理者への意見」は、選択式になっています。複数選択が可能です。

  1. 就業上の措置は不要です
  2. 以下の心身の状況への対処が必要です … 専門医受診勧奨 / 面談を含む産業医連携 / その他
  3. 以下の勤務の状況への対処が必要です … 上司相談 / 面談を含む産業医連携 / その他

2番と3番が分かれているのが、この様式の特徴です。

体調の話として扱われるのか、勤務の組み方の話として扱われるのか。どちらに丸が付くかで、その後に起きることが変わります。

勤務の状況への対処として挙げられている選択肢は、上司相談と産業医連携です。「勤務を減らす」という項目は、意見書の段階では選択肢に並んでいません。 具体的な措置は、8番の欄で病院側が決めます。

ここが本題です。本人が先に受け取ります

様式例の留意点に、はっきり書かれています。

面接指導実施医師は、本書面の点線上まで記載した段階(管理者が「面接指導実施医師意見に基づく措置内容」を記載する前)で、本書面を被面接医に渡してください

病院が措置を書き込む前の状態で、本人の手に渡ります。

つまり、何と書かれたかを最初に読むのは自分です。 病院を経由して後から知らされる形ではありません。

内容に納得できない場合、次の手続きに進む前に確認できます。

提出するのは、本人です

もう1つ、知られていない点があります。

被面接医は、自身が勤務する全ての医療機関の管理者に本書面を提出してください

「全ての医療機関」です。 本務先だけではありません。外勤先にも提出することになっています。

労働時間が全ての勤務先で通算される制度なので、健康確保の措置も全ての勤務先で共有される、という組み立てです。

→ 外勤とバイトは労働時間の上限に通算される

ただし、自分で全部を回る必要はありません。代わりに出してもらう方法が2つ用意されています。

  1. 面接指導実施医師が、本人に代わって勤務先の管理者に直接提出する
  2. 主たる勤務先の管理者(事務部門)が、本人に代わって副業・兼業先に提出する

どちらも、本人からの依頼があれば可能です。 自分から言わないと動きません。

そのあと、書類はこう回ります

提出したあとの流れは、次のとおりです。

  1. 管理者が内容を確認し、「措置内容」と確認欄の管理者部分を記載して、本人に渡す
  2. 本人が、その書面を事業者に渡す
  3. 事業者が内容を確認し、確認欄の事業者部分に署名する
  4. 事業者は、管理者による措置に加えて、さらに労働時間の短縮等の措置を講ずる必要がないか検討する
  5. 別途措置が必要と判断した場合、その内容を「措置内容」の欄に記載する

ここでも本人を経由します。 1番から2番の間で、自分に対してどんな措置が決まったかを読むことになります。

なお、医療機関の事務手続き上、管理者ではなく事務部門が書面を受け取る場合は、以降の確認をその事務部門を介して行うことができるとされています。

月155時間を超えた場合

様式例の下部に、注記が1行あります。

時間外・休日労働が月155時間を超えた被面接医には労働時間短縮のための措置が必要です

面接指導の対象になる100時間とは別に、155時間という線があります。

この水準を超えた場合、労働時間短縮のための措置が必要とされています。意見書の内容にかかわらず、必要です。

月155時間は、1か月を30日として単純に割ると、1日あたり5時間を超える時間外・休日労働に相当します。

5年間、保存されます

最後に保存の話です。

管理者と事業者は、この書面を5年間保存します。

複数回受ける医師については、過去の面接内容を引き継げる体制を整えることも求められています。単発の記録ではなく、積み上がる記録です。

受ける前に確認しておくこと

以上を踏まえると、面接の前に聞いておくと良い点が見えてきます。

  1. 意見書はいつ自分の手元に来るのか(措置が書かれる前のはずです)
  2. 外勤先への提出を、誰がやるのか(自分か、実施医師か、事務部門か)
  3. 所属長に知らされるのか(法令上の義務はなく、扱いは病院ごとです)
  4. 睡眠と疲労の評価に、何が使われるのか(睡眠評価表とチェックリストです)

2番を決めずに面接を受けると、書面が手元で止まります。 提出の主体は本人なので、放置すれば誰も動きません。

まとめ

  1. 意見書の様式例は、厚生労働省のサイトで公開されている
  2. 睡眠負債と疲労の蓄積は、0から3の4段階で記録される
  3. 意見の選択肢は、措置不要・心身の状況への対処・勤務の状況への対処の3つ
  4. 管理者が措置を書く前の状態で、本人が先に受け取る
  5. 提出するのは本人。勤務する全ての医療機関の管理者に出す
  6. 依頼すれば、実施医師または主たる勤務先の事務部門が代わりに提出できる
  7. 管理者が措置を書き、本人を経由して事業者へ渡る
  8. 事業者は、さらに労働時間短縮等の措置が必要かを検討する
  9. 時間外・休日労働が月155時間を超えた場合、労働時間短縮のための措置が必要
  10. 管理者と事業者は5年間保存する

意見書は、病院が自分について書いて病院の中で完結する書類ではありません。 自分が受け取り、自分が回す書類です。

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ご注意

この記事は一般的な情報提供であり、個別の労務判断を示すものではありません。記載内容は厚生労働省の面接指導実施医師養成ナビで公開されている「長時間労働医師面接指導結果及び意見書」の様式例をもとに整理していますが、様式は例であり、実際に使われる書式や運用は医療機関によって異なります。また制度は見直しが進められており、要件や数字が変わることがあります。勤務先での具体的な取り扱いについては、勤務先の労務担当または各都道府県の医療勤務環境改善支援センターにご確認ください。

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