B水準の病院は全国に477施設|47都道府県の公表資料を全部数えました

B水準の病院は全国に477施設|47都道府県の公表資料を全部数えました 医師の働き方改革

※PR

B水準の病院は、全国にいくつあるのか。

この問いに答えている資料が、どこにもありませんでした。

都道府県はそれぞれ公表しています。ただし47個のPDFとExcelがバラバラに置かれているだけで、足し合わせた数字が存在しません。

そこで、47都道府県の公表資料を全部集めて数えました。この記事はその結果です。

なお、この記事は一般的な情報提供です。個別の適用については、勤務先の労務担当か、各都道府県の医療勤務環境改善支援センターに確認してください。

集計の方法

医療法第113条第6項および第118条第2項により、都道府県は指定を公示しています。また医療法第111条第1項に基づき通知された医療機関勤務環境評価センターの評価結果も公表されています。

47都道府県の公式サイトから、指定一覧と評価結果一覧をすべて取得し、医療機関単位に名寄せしました。

  1. 47都道府県すべてが、指定一覧を公表していました
  2. 評価結果を公表していないのは2県のみ(岐阜県・徳島県)
  3. 1つの医療機関が複数の水準で指定されている場合は、1施設として数え、水準は延べで数えています

制度そのものの仕組みは、こちらで整理しています。

→ 自分の病院は何水準か|指定と評価結果は県のサイトで公表されています

結論。全国で477施設です

延べ指定件数は700件でした。

  1. 特定地域医療提供機関(B水準) … 431件
  2. 技能向上集中研修機関(C-1水準) … 134件
  3. 連携型特定地域医療提供機関(連携B水準) … 122件
  4. 特定高度技能研修機関(C-2水準) … 13件

複数の水準で指定を受けている施設は191ありました。477施設のうち4割です。

そして、ここが一番大事な数字だと思います。

病院の94%は、指定を受けていません

全国の病院は約8,100施設です。そのうち指定を受けているのが477施設。

割合にすると5.9%です。

つまり、残りの約94%はA水準ということになります。年960時間が上限です。

「自分の病院は特例水準だろう」と思っている医師は、まず一覧を確認したほうがいいです。 確率としては、載っていない側のほうが圧倒的に多い。

→ 医師の働き方改革|あなたの上限は何時間になったのか

C-2水準は、全国で13件しかありません

高度な技能の修得のためのC-2水準は、極端に少ない結果でした。

477施設中13件。 都道府県別に見ると、指定がゼロの県のほうが多い状態です。

全国で13件の内訳は次のとおりです。

  1. 大阪府 … 4件
  2. 茨城県・東京都・神奈川県・新潟県・愛知県・京都府・兵庫県・岡山県・福岡県 … 各1件

そして、B・連携B・C-1・C-2の4水準すべてを持つ施設は、全国で5つだけでした。

  1. 北里大学病院(神奈川県)
  2. 新潟大学医歯学総合病院(新潟県)
  3. 大阪大学医学部附属病院(大阪府)
  4. 大阪母子医療センター(大阪府)
  5. 岡山済生会総合病院(岡山県)

4つ目と5つ目が大学病院ではないのが目を引きます。

都道府県の差は25倍あります

施設数の上位と下位です。

多い順

  1. 東京都 … 50
  2. 神奈川県 … 35
  3. 大阪府 … 31
  4. 愛知県 … 29
  5. 千葉県 … 28
  6. 福岡県 … 26
  7. 埼玉県 … 25
  8. 北海道 … 24

少ない順

  1. 秋田県・富山県・和歌山県・島根県・香川県・長崎県・熊本県 … 各2
  2. 山形県・石川県・福井県・山梨県・鳥取県・山口県・徳島県・愛媛県・佐賀県・宮崎県 … 各3

最多の東京50に対し、最少は2です。 人口の差を考えても開きがあります。

なお、指定がゼロの県はありませんでした。 どの県にも最低2施設あります。

指定事由の8割が「救急医療」です

なぜ1,860時間の枠が必要とされたのか。公表されている指定事由を数えました。

  1. 救急医療 … 382施設(80.1%)
  2. 臨床研修・専門研修 … 119施設(24.9%)
  3. 医師の派遣 … 107施設(22.4%)
  4. 地域で代替が困難な医療 … 97施設(20.3%)
  5. 高度な技能の修得 … 6施設(1.3%)

救急が圧倒的です。 特例水準は、実質的に救急医療を支えるための枠として使われていることが数字で出ています。

ここからが本題です。66%が改善を指摘されています

評価結果と指摘事項が公表されている462施設について、内容を数えました。

評価センターが改善を促すときに使う決まり文句があります。「計画段階」「早期実施」「取組むことが必要」です。これらが含まれる施設を数えました。

306施設。462施設の66.2%です。

指定を受けている病院の3分の2が、何かしら「まだできていない」と指摘されています。

なお、これは公式の分類ではなく、公表文から私が数えたものです。基準は上の3語の有無です。

何を指摘されているのか

指摘事項に出てくる語を数えました。施設数です。

  1. 研修(労働時間短縮に向けた研修の実施) … 96施設
  2. 勤務計画(勤務計画の作成) … 73施設
  3. タスク・シフト/シェア … 62施設
  4. 面接指導(面接指導実施体制の整備) … 51施設
  5. 労働時間短縮計画 … 26施設
  6. 労働時間の把握・管理体制 … 25施設

4番を見てください。

面接指導は、A水準を含むすべての水準で義務です。その実施体制が「計画段階」と評価されている施設が51あります。

→ 長時間労働医師の面接指導|受けるのは義務なのか、誰がやるのか

制度が始まってから1年以上が経っていて、この状態です。

評価結果そのものの分布

判定文まで公表している県の分を集計すると、こうなりました。

  1. 取組は十分に行われており、労働時間短縮が進んでいる … 122施設(25.6%)
  2. 取組は十分に行われているが、労働時間短縮が進んでいない … 95施設(19.9%)
  3. 取組に改善の必要があるが、計画案から今後の改善が見込まれる … 166施設(34.8%)
  4. 判定文を公表せず、指摘事項のみ … 79施設(16.6%)
  5. 評価結果の公表なし … 15施設(3.1%)

2番が19.9%あるのが重要です。 「やってはいるが、時間は減っていない」という評価です。

取組と結果が別々に評価されているので、同じ指定を受けていても中身は違います。

指定は、取り消されることがあります

これは千葉県の公表資料で気づきました。

千葉県は、指定一覧と評価結果一覧に加えて「取消一覧」を公表しています。 セコメディック病院が令和7年3月27日に指定を取り消されています。

指定期間は3年ですが、期間内に取り消される場合があります。

転職先を検討しているなら、一覧に載っているかどうかだけでなく、いつ時点の一覧かを見てください。

PR

公表資料で分かるのは、制度の上の話までです

指定の有無と評価結果は公開されていますが、その診療科の実際の当直回数や勤務時間までは書かれていません。公表資料で当たりをつけたうえで、現場の条件を担当者に確認すると材料が揃います。

医師転職ドットコムに無料登録する →

47県を横断して分かった、資料そのものの問題

集計して初めて見えた点を2つ書いておきます。これは読み手にも影響します。

1. 基準日が揃っていません

一覧の基準日は、古いもので令和6年2月、新しいもので令和8年9月でした。2年半以上の開きがあります。

  1. 徳島県 … 令和6年2月末現在
  2. 香川県 … 令和6年2月7日現在
  3. 福岡県 … 令和8年4月1日現在
  4. 静岡県 … 令和8年9月1日現在

制度開始時点のまま更新されていない県があります。 その県の一覧に載っていないからといって、いまも指定を受けていないとは限りません。

さらに、基準日の記載そのものが無い一覧が53施設分ありました。

2. 公表の粒度が違います

  1. 判定文と指摘事項の両方を載せる県(三重県・長野県・兵庫県ほか)
  2. 判定文を載せず、指摘事項の本文だけの県(福井県・熊本県ほか)
  3. 全体評価のみで、指摘事項は非公表の県(沖縄県ほか)
  4. 評価結果そのものが非公表の県(岐阜県・徳島県)

同じ表に並べても、見えている情報の深さが県ごとに違います。 県をまたいで病院を比べるときは、ここに注意が要ります。

自分の病院を調べる手順

数字を見たうえで、実際に確認する手順です。

  1. 「都道府県名 特定労務管理対象機関」で検索する
  2. 指定一覧を開き、基準日を最初に見る
  3. 自分の病院名を探す。載っていなければA水準
  4. 載っていたら、指定の種類と指定事由を見る
  5. 評価結果一覧を開き、指摘事項の欄まで読む

5番まで読む人はほとんどいません。 ですが、その病院の労務管理がどこで止まっているかは、そこにしか書かれていません。

この記事で集計した477施設は、都道府県・水準・評価で絞り込めるようにまとめてあります。病院名でも検索できます。

→ 特定労務管理対象機関データベース|全国477施設をまとめて検索

→ 自分の病院は何水準か|指定と評価結果は県のサイトで公表されています

まとめ

  1. 特例水準の指定を受けた医療機関は、全国で477施設。延べ700指定
  2. 内訳はB水準431・C-1水準134・連携B水準122・C-2水準13
  3. 複数水準を持つ施設は191で、全体の4割
  4. 全国の病院約8,100施設のうち5.9%。残りの約94%はA水準
  5. 4水準すべてを持つ施設は、全国で5つだけ
  6. 都道府県の差は東京50に対し最少2
  7. 指定事由の80.1%が救急医療
  8. 評価が公表されている462施設のうち66.2%が、改善を指摘されている
  9. 指摘の最多は研修96施設。義務である面接指導の体制が51施設で指摘されている
  10. 指定は期間内に取り消されることがある(千葉県が取消一覧を公表)
  11. 基準日は令和6年2月から令和8年9月まで2年半以上ばらついている

特例水準は、思われているほど広がっていません。 そして指定を受けた病院の3分の2は、まだ整っていないと評価されています。

関連記事

集計の出典と注意

この集計は、47都道府県が公式サイトで公表している特定労務管理対象機関の指定一覧および医療機関勤務環境評価センターの評価結果一覧をもとに、記事作成時点で取得できた資料から作成しました。

次の点にご注意ください。

  1. 各県の基準日が揃っていません。 全国の合計は、異なる時点の数字を足したものです
  2. 「改善を指摘された66.2%」は公式の分類ではありません。 公表文に「計画段階」「早期実施」「取組むことが必要」が含まれるかどうかで数えたものです
  3. 全国の病院数約8,100は概数です
  4. 兵庫県は指定一覧17施設に対し評価結果が18件あり、1施設は評価結果にしか記載がありませんでした。集計には含めていません
  5. 北海道は累積一覧を公表しておらず、公示日ごとの資料を名寄せしています
  6. 指定期間の終期を明記していない県があり、その分は空欄として扱っています

制度は見直しが進められており、指定の状況は随時変わります。実際の判断の前に、必ず各都道府県の最新の公表資料をご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました