高収入の医師のもとには、「節税になります」という提案が次々と持ち込まれます。その中には、まっとうな制度活用もあれば、税務リスクや損失リスクを抱えた危険なスキームも混ざっています。
この記事では、医師が手を出すべきでない節税の類型と、危険な提案を見抜く方法を整理します。
なお、この記事は一般的な情報提供であり、税務助言ではありません。個別の判断は税理士に確認してください。
なぜ医師に危険な節税話が集まるのか
理由は単純です。税負担が重く、節税というワードへの反応が良く、多忙で細部を検証する時間がなく、金融・税務が専門外だからです。
そして覚えておくべき原則があります。本当に有利で安全な節税は、iDeCoやNISA、ふるさと納税のように、誰も営業に来ません。向こうから熱心にやって来る「節税」は、販売側に大きな利益が乗っている可能性を疑うべきです。
危険なスキームの類型
過去に流行し、規制されたり問題化したりした類型を知っておくと、「新作」が来ても構造で見抜けます。
型1: 減価償却を使った損出しスキーム
海外中古不動産の加速償却(2020年に個人は規制済み)、足場・ドローン等のレンタル即時償却(規制済み)など、「償却で赤字を作って給与と相殺」という型です。規制でふさがれては、別の商品に姿を変えて再登場を繰り返しています。共通の弱点は、出口で結局課税されるか、商品自体が割高であることです。
型2: 節税を装った割高な商品購入
節税目的の貯蓄型保険や、医師の不動産投資で解説した割高ワンルームがこの型です。税が数十万円減っても、商品で数百万円損をしたら本末転倒です。
型3: 無申告・所得隠し
副業収入や仮想通貨の利益の無申告、経費の水増し。これは節税ではなく脱税です。無申告加算税・重加算税と延滞税で、本来の税額より大幅に重い負担になり、悪質な場合は刑事罰もあります。医師という社会的立場を失うリスクに、見合う利得はありません。
型4: 実態のない法人・スキームの利用
実態のないMS法人への利益移転や、説明のつかない海外スキームは、税務調査で否認されるリスクが高い領域です。
危険な提案を見抜く3つの質問
提案を受けたら、この3つを自問してください。
1. 出口はどうなるか: 「今年の税金が減る」だけの説明は要注意。繰り延べなら、いつ・いくら課税されるかまで確認します
2. 税務署に堂々と説明できるか: 取引の実態と経済合理性を、自分の言葉で説明できないものは持たないことです
3. 提案者は何で儲かっているか: 手数料・販売益の構造を確認すれば、「誰のための提案か」が見えます
1つでも答えが曖昧なら、契約せずに持ち帰り、利害関係のない税理士に見せてください。
まっとうな節税から順に埋める
危険なスキームに手を出す前に、確認すべきことがあります。iDeCo、NISA、ふるさと納税、各種控除の取りこぼし。地味で確実な制度を使い切っている医師は、実は多くありません。
順序と全体像は勤務医の税金が高い理由で整理しています。まっとうな枠を埋めたうえでまだ税負担が重いなら、その先は開業・法人化のような「働き方の構造」の話であり、怪しい商品の出番はありません。
まとめ
危険な節税は、償却による損出し、節税を装った割高商品、無申告・脱税、実態のないスキームの4類型に集約されます。見抜く質問は「出口は」「税務署に説明できるか」「提案者は何で儲かるか」の3つです。
本当に有利な節税は営業に来ない、という原則を忘れずに。まずiDeCo・NISA・控除の基本を使い切り、判断に迷う提案は利害関係のない税理士へ。税金で得しようとして人生で損をしないでください。
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